宅配ドライバーは儲かるのか?
これから個人事業主として軽貨物車を使い、宅配便の配達を始めようと考えている方なら、一度は気になる疑問だと思います。
宅配ドライバーの報酬は、基本的に歩合単価 × 配達完了個数で決まります。
つまり、1個あたりの歩合が高いほど、同じ個数を配達しても売上は大きくなります。
しかし、実際にどれくらい稼げるのかは、歩合単価だけでなく、配達できる荷物の数や担当エリアによっても大きく変わります。
私は個人事業主の宅配ドライバーとして10年以上働いてきました。
この記事では、実際に経験してきた歩合単価の変化と、月50万円を目指すために必要な配達個数を計算しながら、宅配ドライバーは本当に儲かる仕事なのかを解説します。
宅配ドライバーの報酬は歩合制
個人事業主として宅配便の配達を請け負う場合、報酬は配達した荷物の個数に応じて決まる歩合制が一般的です。
例えば、1個あたりの歩合が150円で、1日に100個配達完了した場合は次のようになります。
150円 × 100個 = 15,000円
これを月25日働いたとすると、
15,000円 × 25日 = 375,000円
月の売上は37万5,000円です。
もちろん、実際には荷物が少ない日もあれば、多い日もあります。不在や再配達、交通事情などによって、配達完了できる個数も変わります。
それでも、基本的な仕組みはシンプルです。
歩合単価が高く、配達完了個数が多いほど売上が増える。
これが個人事業主の宅配ドライバーの基本になります。
1次請けと2次請けでは歩合が違う?
宅配ドライバーの報酬を考えるうえで、知っておきたいのが「何次請けで仕事を受けるか」という問題です。
宅配会社から直接仕事を受ける事業者もいれば、宅配会社から仕事を受けた別の事業者を通して仕事を請け負うドライバーもいます。
一般的には、仕事を仲介する事業者が間に入るほど、元の報酬から手数料などが差し引かれる可能性があります。
例えば、宅配会社からの元の歩合が1個150円だったとします。
2次請けの事業者が、仕事の斡旋や管理などの対価として25%を差し引く場合、ドライバー側の報酬は次のようになります。
150円 × 25% = 37.5円
150円 − 37.5円 = 112.5円
つまり、ドライバーが受け取る歩合は約113円です。
元の歩合が150円でも、実際の歩合は約113円になってしまいます。
1個あたりでは約37円の差ですが、これが毎日の配達で積み重なると大きな違いになります。
例えば、1日100個を25日間配達した場合、1個150円なら月37万5,000円ですが、約113円なら月28万2,500円です。
その差は、月に約9万2,500円にもなります。
※これは25%を差し引く例であり、実際の契約条件や手数料は事業者によって異なります。
多重下請け構造は今後どうなる?
最近では、宅配会社から直接仕事を受ける1次請けの募集が以前より見つけにくくなり、2次請けなどを通じて仕事を始めるケースもあります。
また、公正取引委員会などが、多重下請け構造や取引上の問題を取り上げていることもあり、今後、業界の仕組みが変わる可能性はあります。
仮に今後、宅配会社から直接仕事を受けられる機会が増えたり、中間の手数料負担が小さくなったりすれば、ドライバーの報酬に影響するでしょう。
ただし、1次請けの募集が今後増えるかどうか、また報酬体系がどのように変化するかは、現時点では断定できません。
これから宅配ドライバーを始める方は、募集に書かれている歩合単価だけでなく、実際に自分が受け取れる金額と契約条件を確認することが大切です。
宅配ドライバーの歩合単価は昔より上がった
私が宅配ドライバーを始めた頃、歩合は1個あたり約100円でした。
当時は宅配業界の景気が非常に悪く、今と比べると稼ぎにくい時代だったと感じています。
その後、インターネット通販が普及して宅配便の取扱量が増え、歩合単価も徐々に上がっていきました。
私の経験や周囲で聞いてきた話では、2次請けでも1個あたり150円前後が目安とされるようになり、最近では170〜190円前後の単価を見かけるようになっています。
もちろん、これはすべての地域や事業者に共通する相場ではありません。契約内容やエリア、荷物の種類によっても違います。
それでも、私が始めた頃の約100円と比べれば、1個あたりの報酬が大きく上がっていることが分かります。
では、歩合単価が変わると、月50万円を稼ぐために必要な配達個数はどれくらい変わるのでしょうか?
月50万円を稼ぐには1日何個配達すればいい?
宅配ドライバーとして働く人の中には、月50万円を目標にしている方もいると思います。
月50万円を目指す場合、年間では600万円になります。
ただし、ここでいう50万円は、経費や税金などを差し引く前の売上として考えます。
今回は、月25日出勤する条件で計算してみます。
50万円 ÷ 25日 = 1日あたり2万円
つまり、毎日2万円の売上を上げる必要があります。
歩合が1個100円の場合
1日2万円を稼ぐには、
20,000円 ÷ 100円 = 200個
毎日200個の配達完了が必要です。
200個を毎日配達するとなると、かなり大変です。
荷物が多いエリアであっても、建物の配置や移動距離、不在率などによって配達できる個数は変わります。
歩合が100円のまま月50万円を目指すには、相当な配達能力と荷物量が必要になるでしょう。
歩合が1個150円の場合
20,000円 ÷ 150円 = 約133.3個
つまり、毎日134個程度の配達完了が必要です。
持ち出した荷物がすべて配達完了になるとは限らないため、実際にはもう少し多くの荷物を持ち出す必要があります。
例えば、1日150個を持ち出して134個以上を配達完了できれば、目標に届く計算です。
歩合100円の場合と比べると、必要な配達個数はかなり減ります。
ただし、毎日150個以上の荷物があるエリアは、仕事量も多く、体力的な負担が大きくなりやすい点には注意が必要です。
歩合が1個180円の場合
20,000円 ÷ 180円 = 約111.1個
つまり、毎日112個程度の配達完了が目安になります。
こちらも、実際には不在などを考慮して、必要な荷物を持ち出せる環境が必要です。
歩合150円の場合と比べても、必要な配達完了個数がさらに減ります。
担当エリアの荷物量が安定していて、効率よく配達できるドライバーなら、月50万円が現実的な目標になってきます。
歩合単価ごとの比較
| 1個あたりの歩合 | 月50万円に必要な1日の配達完了個数の目安 |
|---|---|
| 100円 | 200個 |
| 150円 | 約134個 |
| 180円 | 約112個 |
※月25日出勤、毎日均等に配達し、売上50万円を目指す場合の計算です。実際の報酬や配達個数は日によって変動します。
このように、歩合単価が上がるほど、同じ売上を稼ぐために必要な配達個数は少なくなります。
宅配ドライバーとして稼ぐには、配達の効率を上げるだけでなく、1個あたりの歩合単価も重要なポイントなのです。
月50万円を稼げても、50万円が手取りではない
ここで注意しておきたいのが、月50万円という金額の意味です。
個人事業主の宅配ドライバーの場合、月50万円の売上があっても、その全額が自分の手元に残るわけではありません。
主な経費には、次のようなものがあります。
- ガソリン代
- 車両の購入費やリース代
- エンジンオイルやタイヤなどのメンテナンス費用
- 車検や自動車保険
- 駐車場代など
- その他の業務に必要な費用
さらに、事業の利益に対して所得税や住民税などがかかる場合があります。国民健康保険や年金などの負担も考えておく必要があります。
そのため、月50万円の売上を目標にする場合は、売上だけでなく、経費を差し引いた後にどれくらい残るのかも計算しておきましょう。
また、契約によっては配達個数以外の報酬や控除がある場合もあります。契約書で報酬の計算方法を確認することが重要です。
宅配ドライバーは本当に儲かるのか?
私の経験から言えば、昔と比べると、現在は稼ぎやすい条件がそろってきたと感じます。
始めた頃は歩合が1個約100円でしたが、最近では170〜190円前後の単価を見かけるようになりました。
歩合100円で月50万円を目指すには、毎日200個の配達完了が必要です。
一方、歩合180円なら、毎日約112個の配達完了が目安になります。
同じ月50万円を目指す場合でも、必要な配達個数には大きな差があります。
ただし、歩合が高くても荷物が少なければ稼げません。反対に荷物が多くても、配達エリアが広すぎたり、不在が多かったりすると、思うように配達個数を伸ばせないこともあります。
さらに、軽貨物車の維持費やガソリン代なども自分で負担するため、売上だけを見て「儲かる」と判断するのは危険です。
これから宅配ドライバーを始める方は、次の3点を確認するとよいでしょう。
- 歩合単価はいくらか
- 担当エリアで1日に何個程度の荷物を配達できるか
- 経費を差し引いた後、いくら残るのか
この3点を把握できれば、仕事を始めた後の収入を具体的にイメージしやすくなります。
宅配ドライバーは、歩合単価と荷物量、そして自分の配達能力によって収入が大きく変わる仕事です。
しっかり稼げる可能性がある一方で、体力や時間、車両の維持費も必要になります。
これから個人事業主として宅配ドライバーを始めるなら、目先の売上だけでなく、長く続けられる仕事量と利益を考えて判断することが大切です。
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