これは、今では定年退職して引退した、先輩のおじいちゃんドライバーの話です。
今から十数年前のある日、1個の荷物が届きました。
宛名は「〇〇次郎さん」。
ベテランだった先輩ドライバーは、出発前に首をかしげていました。
「この家に、次郎さんなんていたっけなあ?」
たまたま私の家の近所だったので、私にも聞いてきました。
「この家に次郎さんっている?」
「いやあ、分からないっすね」
結局、先輩は「とりあえず行ってみるわ!」と言って、配達に出発していきました。
夜、戻ってきた先輩が驚きの報告!
その日の夜、仕事を終えて事務所に戻ってきた先輩が、開口一番こう言いました。
「いやあ、たまげたよ!」
「何かあったんですか?」
私が尋ねると、先輩は笑いながら答えました。
「誰かと思ったら、犬だったよ!」
その場にいたドライバーたちは、みんな大笑いです。
犬小屋に書かれていた名前は「次郎」
先輩の話によると、配達先で、
「〇〇次郎さん宛てのお荷物です」
と奥さんに渡したところ、
「ああ、はい、うちです」
と、ごく普通に受け取ってくれたそうです。
先輩も特に何も言わず、車に戻ろうとしました。
ところが、その途中で庭にあった犬小屋が目に入りました。
よく見ると、そこには……
「次郎」
と書いてあったのです!
「まさか、犬が受取人様だったなんてな!」
先輩は、そう言って笑っていました。
今では珍しくないけれど……
今では、ドッグフードやペット用品を通販で購入する家庭も増え、犬や猫の名前で荷物が届くことも珍しくありません。
しかし、十数年前の当時、先輩にはそんな経験が一度もありませんでした。
宛名に書かれた名前の人を探していたら、まさかの犬だったとは……。
ベテランの先輩ドライバーも、これには驚いたようです。
宅配の仕事をしていると、思いもよらない出来事に遭遇することがあります。
あのときの先輩の「いやあ、たまげたよ!」という言葉は、今でも忘れられません。


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