数年前、あるお宅に配達していたときの話です。
その家には、お喋りが大好きなおばあちゃんが住んでいました。
配達に行くと、いつも楽しそうに話しかけてきます。
こちらも少しはお付き合いしますが、宅配ドライバーは忙しい仕事です。ある程度話したら、次の配達に向かわなければなりません。
ところが、このおばあちゃんは話を切り上げるのがとても上手……ではなく、引き止めるのがプロ級!
なかなか話が終わらず、配達に戻るのも一苦労でした。
猫がどんどん増えていった!
いつしか、おばあちゃんは猫を飼い始めました。
最初は1匹だったのですが、しばらくすると2匹、3匹と増えていき、いつの間にか多頭飼い状態になっていました。
そして、家の中は大変なことになっていたのです。
襖は穴だらけ、柱は爪で削られ、本や書類はあちこちに散乱。
さらに、その辺には猫の糞尿まで……。
玄関の引き戸を開けた瞬間、強烈な異臭が鼻を突きました。
これは、まさに地獄絵図だ!
そう思ってしまうほどの惨状でした。
強烈なニオイの中でも長話は続く……
ところが、おばあちゃんは、そんな環境でも平気な様子。
鼻が悪くなっていたのか、配達に行くと、いつものように長話が始まります。
こちらは強烈なニオイに耐えながら、何とか話を切り上げて次の配達へ……。
忙しい時期には、本当に地獄のような時間でした。
おばあちゃん自身も、増えすぎた猫の世話には手を焼いていたようです。
その後、何らかの支援や対応が入ったのか、猫の数は2匹ほどに減りました。
ただ、室内に染みついた糞尿のニオイは、なかなか消えませんでした。
猫も人も、無理のない環境が大切
猫が好きで飼い始めても、数が増えすぎると、世話や掃除が追いつかなくなることもあるのでしょう。
猫にとっても、人にとっても、衛生的な環境は大切です。
猫の数が減り、以前より状況が改善したのは、本当によかったと思います。
宅配ドライバーをしていると、荷物を届けるだけではなく、いろいろな家庭の事情を目の当たりにすることがあります。
このお宅も、今では少しでも暮らしやすい環境になっているといいのですが……。


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